浪漫風呂について<詳しく>
金具屋で一番特徴的なお風呂として取り上げられることが多い「浪漫風呂」
「円形」の温泉浴場というのは珍しいかもしれませんが、この浪漫風呂、もともと「ローマ風呂」として昭和25年に造られたものだったのです。
テルマエ・ロマエというように、風呂に「入浴」するという歴史はローマ帝国のほうが古く、当時たくさんの温浴施設がローマに造られておりました。当館のローマ風呂もその史実をモチーフにしたものだとは思うのですが、なぜかテルマエではなく、ローマの噴水をイメージして造られています。少し勘違いが入っている気もしますが、実は昭和前半に日本全国にこういったローマ風呂が造られていったのです。
浪漫風呂に使われているのは「金具屋別荘」という名前の源泉で、浪漫風呂のほぼ真下3mあたりのところから湧いております。金具屋では一番古い源泉で、江戸時代にここからお湯が沸いたことで、温泉宿をやるようになったきっかけのお湯です。現在も地表まで60度ほどの温度で湧いております。このお湯は浪漫風呂のみに使われていて、鉄分が多く、少し黄色く濁るお湯です。今に至る260年間、お風呂に使用されております。
現在の浪漫風呂が造られる前は「泥の湯」という名前の風呂だったようですが、どのような浴槽だったのかはわかっていません。昭和25年の工事の際に、基礎が造られ、源泉部分も空間が拡張されたようです。
さて、その完成当初のローマ風呂の様子を見てみましょう。
円形のお風呂やアーチの窓など建物の基本はそのままですが、ずいぶん印象が違います。実は、ステンドグラスではなかったんですね。タイルもレンガ調ではなくモザイクタイル。中央の噴水口も杯のような形になっています。ずいぶんモダンな印象です。
浪漫風呂(ローマ風呂)がステンドグラスになったのは、実は平成4年。写真はこちら。
これもデザインに問題がありまして(笑)、白い部分が透明で出来上がって来ていたんですね。当然外から風呂の中が丸見えになってしまうと。急遽、白い紙を貼って対応したものでした。つまり、厳密に言うとステンドグラスではなく、カラーガラスだったわけです。
ちなみにこの写真の湯の色が緑に見えるのは浴槽内のタイルの色の影響で、緑の湯というわけではありません。
そして2013年(平成25年)冬、ステンドグラスを刷新しました。
本物のヨーロッパガラスを多種多数使用した、本当のステンドグラスとなりました。窓部分は褐色の湯が地面から湧き上がる様子、アーチ部分には山ノ内町の山々の四季の姿、入り口には地域に伝わる民話「黒姫物語」をモチーフにしたデザインをすべてオリジナルで製作しました。
今は時間帯によって色味の変わるバックライトを設置し、日中も夜も、このステンドグラスをお楽しみいただけます。ぜひお近くで、一枚一枚のガラスの違いを見ていただければと思います。
また、今は中央の湯口からではなく、浴槽の脇にローマの水道橋をイメージした湯口がついています。段差によってお湯を冷ます効果を見込んでおりますが、いかかでしょうか。
これからも完成当初の意図はそのままに、さまざまな技術を織り込みながら昔からの源泉をお楽しみいただける風呂を目指していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
0コメント